2019年5月31日金曜日

首像をテーマにした作品「キャラクターの首は埋まっている」のコンセプト

2019年5月29日から開催されているグループ展に参加しています。
今回は作品コンセプトの紹介と、作品を制作するときに考えていたこと、作品をみるポイントなどを書きました。

-展示概要-
総勢20名、様々なジャンルの作家が「首像」を作る美術の異種格闘技戦!!!
「Mixed Material Arts vol.1 首像」

麻布十番ギャラリー
2019/5/29(水)~6/10(月)
11:00~18:00(火曜休廊、最終日は16:00まで)




作品タイトル「キャラクターの首は埋まっている」

今回のグループ展のテーマは「首像(しゅぞう)」です。美術にあまり馴染みがない方は聞いたことがない言葉かもしれません。

こういうのが首像です。首から上のものが首像です。見たことはあると思います。


そして、このように胸から上のものが胸像です。

「首像」は彫刻の分野では頻繁に出てくる言葉であり、彫刻のテーマとしてあげられることも多いのですが、私は美術大学に行ってデザインを学んでいましたがその4年間で「首像」という言葉を発したことは一度も無いと思います。そのくらい特殊な言葉です。

彫刻の世界では「首像」がひとつの表現の形式として成立していて、「首像」の首をどこで切るのか、なぜ「首像」で表現するのかなどマニアックな議論がされます。私は知らない世界なので割愛します。




今回のグループ展では「首像」というものを様々なクリエイターが作り、「首像」を考え直してみようというコンセプトで、彫刻家の吉田孝弥氏が企画した展示です。

この作品で表現したかったことは、タイトルの通り「キャラクターの首は埋まっている」ということです。

キャラクターやフィギュアを制作しているクリエイターとして「首像」を考えたとき、自分の作るキャラクターってだいたいは首が見えないな、ということをまず考えました。

しかし、フィギュアにする際は、体にくっつけるための支えとしての「首」が存在します。フィギュアの首ってだいたいは引っこ抜けるし、プラモデルなども体のパーツとくっつけるための「首」があります。

くっつけるためのその首は、キャラクターの設定など関係のない形になります。
体と頭がくっついて、頭が回ったりすればいいので非常にシンプルな形になります。

完成すると見えない部分ですが、フィギュアとして成り立たせるためには重要な部分なのです。

そんな首が見える作品にしたいな、見えたら面白いだろうなという、わりと単純な動機で制作されています。

そして以下のような、いくつかの疑問について考えながら作品にしました。


これは彫刻なのか?

これを制作しながら考えていたことは、「これは彫刻なのか」という点です。
結論としては「わからない」のですが、作品を見ながらぜひ考えていただきたいと思っています。



まず、この作品は3Dソフトでモデリングされ、3Dプリンタで出力したものを仕上げています。3Dプリンタを使うことは「彫刻と呼べるのか」という疑問。

彫刻家の中でも3Dを使って作品を制作する作家もいますので、彫刻といえるのでしょう。
しかし、彫刻とは認めない人もいるでしょう。

絵画でも彫刻でもそうなのですが、「これは絵画なのか」「これは彫刻なのか」という議論は常にされています。

デザインでも同じで、「デザインとアートの境界は?」など。

さて、彫刻とフィギュアの違いは何でしょうか。

大きさでしょうか?
彫刻が大きいもので、フィギュアが小さいものでしょうか。

希少性でしょうか?
彫刻が一点もので、フィギュアが複製されるものでしょうか。

素材でしょうか?
彫刻は粘土や陶器や木や石で、フィギュアは石油製品なのでしょうか。

どれも当てはまらない例はあります。

もしかしたら、彫刻家が彫刻として作るから「彫刻」で、クリエイターがフィギュアとして作れば「フィギュア」なのかもしれません。

今回の作品は「彫刻」とは何だろうと考えながら制作しました。

ここでひとつお伝えしたいことは、作家は全て明確な答えを持って作品を制作しているわけではない場合もあるという点です。

私の場合は、仕上げをしっかりしてカッチリ作っていますが「よくわからんな〜」と思いながらこの作品を作りました。

結構、そんなものです。

これは私の場合であって、他の作家さんはどんなことを考えているのでしょうね!!

実際、作品だけ見てもよくわからない

このようにブログで文章にしたり、実際に展示で説明を聞いたりしないと作品の意図ってわからないですよね。

わかるわけないと思っています。



もちろん、作品だけを見て「美しい」とか「形が魅力的、色が綺麗」など感じますし、特に意図もなく作られて「感じるままに感じて欲しい」という作品もあると思います。

デザイン系ではありますが、美術の世界にいる私でも、作品だけ見てそれが何なのか・何を表現したかったのか、深い意図はほぼわかりません。

作品を見たあと必ず「これはどういう作品ですか?」って聞きます。
見ただけではわからない部分が多いからです。

思考や言語をカタチにするのがアーティストですが、やっぱりわからないものはわからないのです。
普通に考えて、他人の考えていることだってわからないのに、それが表現物になったらもう、わかるわけないんです。

こんな考え方をするのは、「説明が求められるデザイン教育」を受けてきたからという点もあるのですが、
作品を見て「これはどういう作品なんだ?」と思ったら作者にぜひ聞いてみてください。

このブログを読んでいる方で美術系ではない方もいらっしゃると思います。
「美術系じゃないからわからないんだ」とか「そんなことを聞いたら恥ずかしい、失礼だ」とか思わないでください。

きっと思いもしていなかった意図を知れたり、気になっていた部分が全く意図のない形状や色だったりするかもしれません。


さて、6/1(土)と6/8(土)の17時から、作家が参加するトークショーが行われます。

私は6/1の17時から在廊しておりますので、作品についても説明いたします!!
ぜひお立ち寄りください。

6/3も11~18時で在廊予定です。

トークショーに来れない方でも、ぜひこのブログで書いた「これは彫刻なのか?」という点や、「首像って何だろう」という点で様々な作家の作品を見てみてください。

感想などもツイッターのDMなどで送っていただけると嬉しいです。

それでは、お待ちしております!!






-展示概要-
総勢20名、様々なジャンルの作家が「首像」を作る美術の異種格闘技戦!!!
「Mixed Material Arts vol.1 首像」

麻布十番ギャラリー
2019/5/29(水)~6/10(月)
11:00~18:00(火曜休廊、最終日は16:00まで)